「うつ病」だけど「抗うつ薬」が効かない!
症状詳細
10年ほど前から、定期的に抑うつ気分や意欲低下が出現し、「うつ病」としてメンタルクリニックで治療していた。いろいろな「抗うつ薬」を使用するが効果は乏しく、症状は低空飛行で、毎年のように仕事を休職していた。自分は「うつ病」でなく、「なまけ病」ではないかと思っていた。職場の異動で引っ越し、当院を受診する。
治療経過・結果
治療効果の乏しさから、単なる「うつ病」ではなく、「“かくれ”躁うつ病」ではないかと感じた。「抗うつ薬」は使用せず、気分安定薬に加え、抗精神病薬や抗てんかん薬を少量使用するなどして薬剤調整を行った。気分は少しずつ安定していき、本人も実感している。この2年は休職もない。
考察・解説
私が勝手に「“かくれ”躁うつ病」と呼ぶのは、いわゆる双極性障害2型で、さらに「軽躁状態」もほとんど目立たないタイプの方であります。見た目は完全に「うつ病」ですがその治療が効かず、「躁うつ病」の治療が奏功する患者が確実に存在します。
類似する症例
2人いた子供はすでに自立して、孫も数人いる。3年前に夫を亡くしてからは1人で過ごしていた。1年ほど前までは、近所の友人たちとバス旅行やデパートに出かけることもあったが、最近は他人に会うのが億劫になってきた。毎日、家事をしたりテレビを見ながら、漫然と過ごしていた。年に数回は、子供や孫たちが遊びに来るが、その時は家族が見ても特に問題はなかった。物忘れなども目立たなかった。この3ヶ月は食欲もあまり...もっと見る
独身、実家暮らしで仕事はしていた。職場では頼られる存在として力を発揮していた。20歳頃から気分の浮き沈みは感じていたが、調子いい時は寝なくても仕事や家事ができる気がしていた。30歳近くなり、浮き沈みが大きくなった感じがあり、調子がいい時はイライラしやすく、人から「最近テンション高いね」「よく喋る」と言われることが多くなった。その頃は金遣いが荒くなる傾向があり、貯金していたものをすべて吐き出す...もっと見る