「周囲の人から見られている」「嫌がらせを受けている」といった高齢女性
症状詳細
子供が独立してからは夫と2人暮らししていた。夫は定年退職して、趣味の釣りに興じていた。妻は家で留守番をすることが多かった。夫が釣りから帰ると、「隣の人がうちにゴミを捨てる」「私のことを監視しているみたい」といったことを言うようになった。最初は夫は「気のせいだ」となだめていたが、徐々に内容がエスカレートするようになり、「私に電波をあてて体調を悪くさせる」「警察とグルになって嫌がらせをする」といった現実離れしたことも言うようになり、不眠にもなってきた。夫に連れられ当院受診した。
治療経過・結果
本人は「なぜ私がこんなところに来ないと行けないのか?」とやや抵抗を感じていた。「高齢になり、何かの拍子でドーパミンがバランスを崩し、今のような症状を作っている」ということを説明し、ドーパミンの調整と不眠の改善目的に1錠だけ内服することを勧めて了承された。内服後、1ヶ月ほどすると「(隣近所が)電波を当てなくなった」と言うようになった。3ヶ月内服すると、「嫌がらせはなくなった」と述べた。今では「なぜ、私はあのようなことを思っていたのか」と言っている。
考察・解説
高齢になると、身体機能だけでなく、脳内の機能も低下してくるのでしょう。印象では1人暮らしの方、1人でいることが多い方は脳内の機能低下が出やすい傾向があるようです。病名をつけるなら、仰々しい名称ですが「妄想性障害」となるのでしょう。早期の治療でスッキリ軽快する方が多い疾患でもあります。
類似する症例
傍から見ても特に問題なく仕事も育児もしているだったが、自分としては「人から見られているような気がする」(被注察感)といった感覚を以前から感じていた。最近、仕事で些細なミスをしたが、その後からその感覚が強くなってきた。当院を受診した。 ...もっと見る
20歳頃から体に違和感を感じており、「これは誰かから、電波を当てられているに違いない」と考えるようになった。時に耳鳴りに混じり、人の声のようなものも聞こえる。あまり気にしないように生活していた。仕事始めて、特に問題なく生活していたが、ストレスが多くなると同症状が気になってくる。電波を当てられないため、昼もカーテンを閉めて生活する。次第に仕事が手につかなくなってきた。両親に勧められ、当院を受診...もっと見る